【レビュー】Windows 11になった「Surface Pro X」を再評価:タブレット操作やソフト対応で大きな改善

Surface Pro XMicrosoft

Windows 11にアップデートした「Microsoft Surface Pro X」をしばらく使ってみたのでレビューします。

Windows 10ではARMに対応したアプリとx86(従来の32ビット)アプリしか動作しませんでしたが、Windows 11になったことでx64(従来の64ビット)アプリも動作するようになりました。

完全体となったSurface Pro Xが、一般的な利用において、どこまで利用していけるのか見ていきます。

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Surface Pro Xのスペック

OSWindows 10 (11)
SoCMicrosoft SQ1/SQ2
RAM8 / 16GB
ストレージ128 / 256 / 512GB
ディスプレイ13インチ, 2,880 x 1,920 (267 PPI),
Pixel Senseディスプレイ
アウトカメラ1000万画素
インカメラ500万画素
バッテリー容量38.2Wh
サイズ・重量287 x 208 x 7.3 mm
重量774g
カラーブラック、シルバー
4GモデムQualcomm Snapdragon X24 LTE
Wi-FiWi-Fi 6: 802.11ac 互換
端子USB-C×2, Surface Connect
その他顔認証, nano SIM

今回、使ったのはSQ1/RAM8GB/256GBモデル。通常のSurface Pro 8シリーズまでとの大きな違いは、SoCにQualcommと共同開発したMicrosoft SQ1を搭載している点です。大きな特徴としては、スマートフォンなどにも使われるチップであるため、省電力でバッテリーの持ちがよく、発熱が少なくファンレスでも動作に余裕があり、薄型設計にできるのもポイントです。

Windows 10ではこのアーキテクチャの違いから、ARM専用のアプリと従来の32bitアプリしか動作せず、64bitアプリが動作しないという欠点がありました。しかし、Windows 11からは、インテルなどのCPUを搭載したパソコンで使える64bitソフトが使えるようになりました。

デザイン:超薄型でパソコンではなくタブレット

Surface Pro X
今回入手したのは、Microsoft SQ1チップを搭載したブラックのモデル。

Surface Pro X
背面も一面ブラックで、ロゴまでブラック。この色は、ちょっと指紋の跡が目立ちやすい印象を受けます。気になる人はプラチナのほうがいいかもしれません。

Surface Pro X
本体は、7.3mmと超薄。iPad mini 6が6.3mmなので1mm波にしか違いません。あまりにも薄く、どこにそんなSoCやバッテリーが収まっているのか気になるレベル。

Surface Pro X
スリムペン付きSurface Pro X Signature キーボードを装着した完全体は、こちら。背面にキックスタンドがあり、これを開くことで自立します。

13インチのPixel Senseディスプレイで、画面は非常に綺麗です。発色もよく、動画を見るにも写真を見るにも向いています。Pro 7までのSurfaceシリーズと比較すると、ベゼルがかなり削られており、スタイリッシュな今風デザイン。

Surface Slim Pen
Surfaceスリムペンは、キーボードの上の部分に収納することができます。キーボードの傾斜を緩めるとペンが現れ、傾斜をつけると隠れます。

Surface Slim Pen

Apple Pencil 第2世代との比較

Surfaceスリムペンは、普通のペンと比べると平べったくなっており、収納した部分が飛び出て不格好になることはありません。平べったいと書きにくいと思う人もいるかもしれませんが、適度に丸みもあり持ちやすくなっていました。

Surface Pro X

Surface Pro X

キックスタンドを開くと、SSDとnanoSIMスロットが出てきます。nanoSIM以外にもeSIMの利用も可能になっています。

Surfaceスリムペン:書き心地はiPad並に

Surface Slim Pen
Surfaceスリムペン(Slim Pen)の書き心地は、とても滑らか。文字を書いたり図形を描いたりといったことを行いましたが、ペン先を動かすとズレもなく、書いた通りに描画されます。従来のSurfaceペンだと、遅延を感じたり、書き心地の悪さがあったのですが、それらが完全に改善されています。

Surface Slim Pen
ペンの性能が良くなると、一気にいろいろなことに使ってみようという気持ちが湧いてきます。PDFなどの資料に文字を入れるだけでなく、ノートテイキングも快適です。それ以外にも、オンラインミーティングが増え、手書きした図や数式、文字などを共有したいときに、Microsoft Whiteboardを使って画面共有することもできます。

タッチ操作:より使いやすく

Windows 11では、タブレット形態で使用するときの操作性が大きく改善しています。ウィンドウの移動やリサイズを直感的なタップ操作で行えるようになり、トラックパッドで利用するような3, 4本指のジェスチャーでアプリケーション間を切り替え可能になっています。デザインが大きく変わったことで、ここのボタンも押しやすくなり、「タブレット」としても活用できるようになりました。

アプリケーションの動作と対応状況

Windows 11での64bitアプリへの対応

Surface Pro X
Windows 11へのアップデートで一番の目玉といっても良いのが、ARMマシンにおける従来の64bitアプリ(x64)への対応。これまではARM用に最適化されたものか、32bit(x86)アプリケーションしか使用することができませんでした。しかし、x64アプリに対応したことで、ほとんどのアプリケーションが利用できるように。Windows 10時代に言われていた対応アプリケーションの少なさが一気に改善されました。

64bit(x64)アプリの動作・対応状況

Surface Pro X
x64アプリの動作は想像以上に快適です。エミュレーションで動作するので、動作が重たくて実用的ではない可能性も想定していましたが、そんなことは全くありませんでした。Chrome BetaやSlackや画像編集ソフトのPhotoScape Xなど、一般的なアプリであれば快適です。Office(WordやExcel)、iCloudは、32bitで動作しており、こちらも動作速度に不満はありません(32bit版が優先されて64bit版を明示的にダウンロードする必要のあるソフトもあります)。

ただ残念なことに動作しないアプリも存在します。筆者の環境では、x64のRは動作しませんでした。動画編集ソフトやプログラミング言語などで、色々なライブラリを抱えて連携が必要なものは、動作しないものがあるかもしれません。

ARM64対応のアプリは増加中

Zoom ARM

ARM向けに対応したアプリケーションも続々と増えています。すでにZoomはARM Windowsに対応したバージョンを出しています。EdgeやFireFox(ベータ版)、Adobe LightroomやMarkdownエディタのObsidianなどは、現時点でARM向けのバージョンがあることを確認しています。

「Office」が「Windows 11」でARM64をサポート ~既存のx64アドインとの互換性も維持/「ARM64EC」で再コンパイル
 米Microsoftは6月28日(現地時間)、「Windows 11」で「Microsoft Office」がARM64プラットフォームをサポートすると発表した。

Microsoftは、ARM向けアプリの対応にも積極的な印象で、今後さらに発展していくことが見込まれます。OfficeもARM向けのものが開発中で、Office Insiderに入れば試すことができます。

Surface Pro Xのアプリケーション対応状況は、Windows 11で大きく改善してきたといえます。ブログ執筆やOfficeを使った文書作成など、一般的な利用用途であれば困ることはないでしょう(専門的なことをするなら注意は必要ですが)。

4G LTE対応:nanoSIMもeSIMも

Surface Pro X
Snapdragon X24 LTEモデムを搭載し、4G LTEでの通信が可能です。nano SIMの他、eSIMにも対応しています。Surface Pro Xが登場したばかりの2019年10月は、eSIMの選択肢はあまりありませんでした。しかし、2021年現在、eSIMを利用できる会社も増え、タブレットやノートPCにSIMを挿すハードルが下がりました。次期モデルでは5Gへの対応も期待したいところです。

バッテリー持ち;安心感はある

Surface Pro X
Surface Pro Xのバッテリー持ちは、実用的なレベル。バッテリーはこの記事を書くのに、100%の状態からEdgeでWordPressやタブを複数開いて、2時間半ちょっと作業した後の残量は75%。検証としてx86/x64アプリを沢山起動したり終了したりしたので、少し多めに減っている可能性はあります。

がっつり使ったときでだいたい10時間くらい持つ想定になります。公称では、通常使用で最長15時間となっているので、もう少しライトなユースケースであれば、10時間以上は余裕そうです。

バッテリー容量は38.2Whと、一般的なノートパソコンと比べると少なめです。しかし、SQ1チップの省電力性がうまく作用し、実用的なバッテリー持ちになっています。これまでのWindowsタブレットは、バッテリー持ちに弱点がありましたが、改善されています。また、設計に余裕があるノートPC型だとよりバッテリーを搭載できることを考えると、ARMなWindowsマシンは価値があると言えそうです。

総評:Windows 11で快適に、次期モデルも期待

Surface Pro X
Windows 11へのアップデートは、Surface Pro Xにとって、x64アプリに対応やタッチ操作の改善など、これまでの欠点を大きく覆す結果となりました。ブログ執筆やOfficeを使った文書・資料作成も快適に行うことができるマシンです(実際、この記事はSurface Pro Xで書きました)。

Surface Pro Xは、4G接続でモバイルしたいという人だけでなく、一般的なユースケースにおいても使いやすいタブレットになったといえます。このアップデートは、SQ1チップという独自チップに二の足を踏んでいた人にとっては、ハードルが下がる変化になりそうです。


Source:Microsft

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