「Acer Chromebook Spin 713」を入手して、しばらく使用したのでレビューします。
今回レビューするのは、Core i5・8GB・128GBモデルと海外で販売されているものになります。Chromebookとしての魅力もありつつ、Linuxアプリや仮想マシンで足りない所をバリバリ補える、実用的なマシンに仕上がっています。
Acer Chromebook Spin 713のスペック
OS | Chrome OS |
---|---|
CPU | Core i5-10210U(4コア/8スレッド) |
RAM | 8GB |
ストレージ | 128GB PCIe NVMe |
ディスプレイ | 13.5インチ、2,256×1,504、IPS、タッチパネル |
インカメラ | HDR HDウェブカメラ (1280×720、720p) |
バッテリー | 約10時間 |
Wi-Fi | IEEE802.11 a/b/g/n/ac/ax |
スピーカー | ステレオスピーカー |
キーボード | バックライトあり・USキー |
サイズ | 300.6 x 16.8 x 235.0 mm |
重量 | 1.37kg |
カラー | スティールグレイ |
その他 | microSD、HDMI、USB Type-C(3.1) ×2、USB-A |
今回購入したのは、アメリカ版のSpin 713。国内版はCore i3-10110U(2コア/4スレッド)で、ストレージもeMMCになっています。ちなみにUSキーボードなのはどちらも同じ。
細かなポイントで行くと、microSDスロットや、USB-A、HDMIを搭載しているのは大きな魅力といえるでしょう。
デザイン:グレイの美しい金属筐体
スティールグレーで落ち着いた色合いのメタル天板。左にはAcerやChromebookのロゴがありますが。それほど主張は強くなくシンプル。エッジ部分はカットされており、輝いています。
開けると、ディスプレイと対面。ディスプレイ部分は一枚ガラス板になっており非常に美しくなっています。またキーボードなどの内部もスティールグレーのカラーに統一されているのも良いところ。
開けた際には、ディスプレイ部分によって本体が持ち上げられる様になっています。
厚さは普通のノートPCといった所。左側面には、USB Type-C、USB-A,イヤホンジャック、microSD。右側面には電源ボタン、USB Type-C、HDMI、音量ボタンが用意されています。最近のノートPCにしては珍しくポート類が豊富で、変換アダプターやハブを持ち歩かなくも良くなっています。
裏面奥の広い穴は給排気口、手前の部分はスピーカーになっています。
Spin 713はファン搭載モデルになっており、発熱する際にも安心。ファン自体は、起動時に一瞬唸る程度で、普通にChrome OSとして使う分には動いていないのかなと思うレベルで静か。Crostiniで重い処理をしたり、仮想マシンを動かしたりすると、ファンが回り始めます。音としては普通のノートPCレベルです。
ディスプレイ: 3:2は実用的
13.5インチ、2,256×1,504解像度、IPSディスプレイは、非常に綺麗です。色合いにもおかしさを感じません。
3:2の縦長ディスプレイは、作業効率、身体への負担が少なめ。特にウィンドウを2つ並べての作業が快適。
机において、椅子に座って使う際、MacBook Airのような13インチ・16:10のディスプレイだと上から下へ見下ろす形になります。しかし、Spin 713は13.5インチ・3:2のため、ディスプレイが全体的に上に長くなっており、見下ろす角度は少なくて済みます。長時間作業における肩・首への負担は低いです。
360度回転するディスプレイ
ディスプレイは360度回転するヒンジを搭載。180度開いて平べったい状態で使ったり、ディスプレイ側を近づけたり、タブレットモードにして使うことはできます。正直な所、13.5インチ・1.37kgもあるノートPCをタブレットとしては使わないので、180度まで開くヒンジにして、その分ベゼルを細くしたり軽量化を行って欲しいです。
キーボード・トラックパッド: 打鍵感良好、すべりよし
キーボードは、キーサイズも大きく、そこそこ打ちやすくなっています。MacBook Airや高級ノートPCと比べると、キーの質感には少し安っぽさを感じる部分も。久しぶりにUSキーボードを使いましたが、タイプミスなども慣れたらなくなり、その点に関しては問題なかったですね。
トラックパッドは十分な広さがあり、指の滑りに関しても良好。広々としているのでジェスチャー操作なども行いやすくなっています。
性能
Chrome OSとして
ChromeOSとしては、全てが爆速。もともと軽量なOSであるのもあるとは思うのですが、第10世代Core i5を搭載しているため、基本的な作業に滞りがありません。タブをたくさん開いてもスイスイ動いてくれ、快適そのものです。Chrome OSとしての利用については全く問題なし。
Crostiniとして
モデル | スペック(CPU/RAM) | かかった時間 |
---|---|---|
Spin 713 | Core i5-10210U/8GB | 40~50秒 |
Mac mini 2018 | Core i7-8700B/16GB | 30秒前後 |
MacBook Air 2018 | Core i5-8210Y/8GB | 55~60秒 |
Spin 713(Crostini)とMac mini 2018、MacBook Air 2018で、データ分析のサンプルコードを走らせ、終了にかかる時間を比較してみました。結果としては上記の表の通り。Mac miniよりは遅いですが、MacBook Airよりは早くなっています。
Crostiniだから遅くなることはなく、むしろ普通の作業でもスペック通りの性能が出せているといえます。今回は簡単なコードだったため、大きな差は出ませんでしたが、コア数やスレッド数がもっと必要になる作業をすると、差は大きくなります。そうしたときに第10世代Core i5を搭載しているというのは大きな強みになるでしょう。
おまけとして、仮想マシンにWindowsを入れた感想も。コアを4~6つ・RAM4GBを割りあえて、Windowsの不要な機能はOFFにした状態でMicrosoft Officeがまともに動くという感じ。もっとスペックを要求するソフトであればCore i7やRAM16GBは必要になりそうです。Core i5(YじゃなくてU型番)・8GB・128GB(SSD)というのが最低ラインな気もしています。ちなみに仮想マシン起動中に、Chrome OS側でブラウジングするのは余裕。
バッテリー持ち:かなり長持ち
スペック上の表記は10時間、作業内容にもよりますが、実際それくらい持ちます。作業によってはそれ以上も可能な所。一日持ち出してブログを書いたり写真編集をしたりしても余裕で、電源の無いカフェで作業しても不安はなかったですね。
もちろん、仮想マシンを使ってWindows 10を起動すると、CPUに負荷がかかりバッテリー駆動時間はかなり短くなります。仮想マシンでWindowsを利用するなら充電しながらの利用は必須。2~3時間程度でなくなると思われます。
気になる所・不満点
インカメラ
インカメラの画質は720p。MacBook Airも同じく720pなのですが、比較すると表示される映像の画質は少し低い様に見受けられます。実用的でありますが、このあたりはChrome用のZoomアプリの影響の可能性もあります。
ステレオスピーカーの音質
ステレオスピーカーの音質は、少しチープに感じます。MacBook Airのようなクリアさはなく、迫力もそこまでありません。悪すぎるという程でも無いので、YouTubeで動画を見たり、ストリーミングサービスで音楽を聴く程度であれば問題ないでしょう。
本体サイズが少し大きめ
ディスプレイが3:2であることで、13インチですが筆者が持っていたMacBook Air用のPCケースに入りません。同じく3:2のディスプレイを搭載しているSurface Laptopでも使えるものか、14~15インチ程度のノートPCケースを購入する必要があります。
総評:ハイスペックにおけるスタンダード
国内で販売されているSpin 713は、USキーボードですし、スペック的にもCore i3/8GB/64GB or 128GBモデルで、現時点では割高感があります。サポートや入手しやすさという点では良いのですが、他メーカーの製品と比べても、そこまでおすすめとは言えません(逆に値下がりすればありといえます)。
一方、今回購入した海外版、Core i5/8GB/128GBモデルで629.99ドル(約65,942円)で販売されているモデル。輸入したため送料や手数料が嵩んでいるため、国内版よりも圧倒的にお買い得。製品としての品質もそこそこいいですし、7~8万円程度で入手できるなら買うメリットは十分にあると思います。
そこそこの値段で、良いハードウェア、爆速のChrome OS、Linuxや仮想マシンもこなせ、これ一台で行けるマシンが欲しいのであれば、購入する価値があるといえるでしょう。
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