裸眼で3Dを見ることができるAndroidタブレット「Lume Pad」をしばらくの間利用してみたので、レビューしていきます。
外観:見た目は普通のタブレット
前面は至って普通のタブレット。今回購入したのは、Champagneモデルで、ベゼルは白。ベゼルが黒な方がいい場合は、Moon Grayにしましょう。
背面に関しても、一般的なタブレットと異なる部分はありません。金属のボディは質感が高級モデル並みに高め。
背面には1600万画素のデュアルカメラが搭載されています。タブレットを持ってサッと写真を撮影するだけで、いつでも3Dの写真や動画を撮影することができます。
インカメラ側には、USB Type-Cやイヤホンジャック、スピーカーはステレオで左右に搭載されています。
電源ボタンと音量ボタンは、上部左側に搭載されています。
動作性能
Snapdragon 845にRAM8GBなので、動作に遅さを感じるシーンはほとんどありません。アプリの起動や3Dモデルの表示などでもたつくシーンはなく、快適に利用できています。
もし、ゲームなどをするのであれば、少し世代が古いので遅いかもしれませんが、そうでないのであれば、全く問題ないと思います。
ディスプレイ:2D表示時と注意点
パット見は普通のIPSディスプレイ。発色もよく、2560X1600の解像度で美しい画面です。YouTubeで動画を見たり、Disney+で映画を見たり、電子書籍を読んだりといった用途に利用することができます。
ただし、元々は3D向けのディスプレイなので、よくよく見てみると格子状の模様が見受けられます。筆者は、ほとんど気にはならかったのですが、気になる人は目についてしまうポイントかもしれません。
3D LightField Displayの実力
3D表示に対する感想は、思っていたよりもちゃんと立体感や奥行きを感じられたという感じ。ただ、100人見て100人感動するかと言われたら、そうではなく、驚いてハマる人もいれば、「あーそんなもんなのね」と思ったり、「全然ダメやん」と感じる人も、十分いると思います。好みと期待値によって評価が異なるでしょう。
3D表示にすると解像度は、半分から1/4程度に落ちます。身近な3D端末であるNintendo 3DSなどと比較すると、格段に精細で立体的であると感じることができます。
Lume Padには、空間的に奥行きを感じられるコンテンツが向いています。例えば、被写体が人で背景が適度にボケている画像や、奥行きを感じることの風景、3Dアニメーションの立体感など。自分の推しパーソンや推しキャラが立体的に見えるというのは、非常に感動しました。
専用3Dコンテンツを必要としない強み
専用コンテンツが不要なのは、Lume Padの大きな強みです。これまでの3D端末の多くは、専用コンテンツ、フォーマットでないと3Dを楽しめないという問題がありました。
Lume Padは、既存のコンテンツを変換できる、また、その変換もすぐに行うことができ、3Dで使う上でのストレスが全くありません。コンテンツ不足にならず、3Dにするのも比較的早いというのは、大きな魅力です。
Lume Pad専用のアプリ
Leia Tube:YouTube動画を即時3D変換
「Leia Tube」は、YouTubeやViemoなどの動画を3Dに変換して表示してくれるアプリです。アプリ上に表示されているYouTube、Viemo、Facebook、Twitchだけでなく、Twitterの動画でも可能でした。ログインが必要な有料会員サイトでは難しいですが、ブラウザで無料視聴可能なサイトであれば変換可能なようです。
使い方は簡単。まず、動画アプリ(YouTubeなど)を開いて、いつものように見たい動画を再生します。次に、共有ボタンからLeia Tubeを選択し、変換を行います。変換が完了すると自動的に再生が始まり、深度を深くしたい場合は、横のスライダーで調節もできます。
Leia Player
Leia Playerは、3Dの写真や動画を閲覧したり、2Dの写真を3Dに変換する機能を備えたアプリ。写真の変換機能はかなり優秀で、左下にあるボタンから3Dモードに切り替えると、すぐに3D写真に変換してくれます。もととなる画像は、自分で撮影したものでも、ネットで保存したものでもOK。
写真の編集機能も非常に優秀で、深さ・フォーカス・ボケの3つを自分で調節することで、立体感がいまいちな写真でも、よりよりモノにすることができます。
Leia Viewer
3Dモデルを立体的に表示するためのアプリケーション。3Dのモデルやキャラクターを立体的に表示させて、自分の好きなように拡大することができます。ファイル形式は、STL, OBJ, FBX, GLB、 GLTFに対応しています。
ファイル形式さえ対応していれば、VRのキャラクターやアバターも、3Dでチェックすることができます。
Leia Cam:3D写真や動画を撮影する
Leia Camを使って、背面カメラで3D写真や動画を撮影することができます。普通のカメラと比べると撮影と変換に時間がかかります。
Leia Stream・Leia Pix
Leia Stream・Leia Pixは、いわゆる3D動画・写真版のYouTubeとInstagram。ユーザーがアップロードしたコンテンツを楽しむことができます。非常に大規模なものではありませんが、いろいろな人が多様なものを上げているので、しばらくは楽しんで使うことができます。
Windows・Mac向けLightfield Studio
Windows・Mac向けに、普通の動画を3Dに変換するLightfield Studioというソフトも用意されています。ボタン一つ押すだけで自動的に、動画の変換を行います。内部では、コマを切り出し、深度を計算し、Lume Pad用にまとめるという処理が行われます。
Intel CPUを搭載したMac miniでは問題なく動作しましたが、M1 MacBook Airと手元のWindowsマシン(i7-10700/GTX 1650 SUPER)では、動作しませんでした。Windowsでは動作している人もいるので、動作するかは環境によります。
Lume Padの不満点と注意点
重さ
重量は、595gと少し重く、手に取ると少しずっしりとした重みを感じます。特殊なLightfieldディスプレイを搭載しているためか、iPad 第9世代よりも110gくらい重たくなっています。
初期ファームウェア
初期ファームウェアでは、Androidそのものの動作はスムーズですが、Leia Appstoreなどのアプリケーションなどは重めの動作でした。
現状最新バージョンにアップデートすると、ここのアプリの動作も良くなり、Androidに関しても更に良くなったように感じます。
総評:確かに3D、ハマる人はハマる
Lume Padは、良い3Dタブレットだと思います。コンテンツの量という点でも、表示品質という点でも、更にタブレット本体のクオリティとしても高いレベルにあります。
もちろん、まだ3D表示には、解像度や立体性など発展の余地はあるので、誰にでもおすすめというわけではありません。しかし、3Dに関心があったり、VRややAR関連に興味を持って活動している人なら、楽しんだり遊んだりできる製品だと思います。
Snapdragon 845・RAM8GBを搭載した裸眼3Dタブレット399ドル(送料などを入れると約5万円)で購入できるので、3Dタブレットとして期待しつつ、ダメだったらAndroidとして使うみたいなのもありだと思います。
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